Pika’sはきだめ

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n岡技科大 H31 電電

n岡技科大の電電を解いた。回路,電磁気関連しか解いていない。(電子回路とかは元気があればやるかも)

 

問題1 電気機器に関する問題

問1

4極の三相誘導電動機がある。この電動機に定格周波数50 Hzを加えて駆動しているときの同期速度$ N_0 $ [r/m]を求めよ。

極数を$ p $、周波数を$ f $とすると同期速度は、

$$ N_0 = \frac{120f}{p} $$

で表される。したがって、

$$ N_0 = \frac{120f}{p} = \frac{120\times 50}{4} = 1500  \rm{[r/m]} $$ 

問2

問1の電動機が回転速度$ N = 1440 $ [r/m]で回転しているとき、すべり$ s $を求めよ。

すべりは、

$$ s = \frac{N_0 - N}{N_0} = \frac{1500-1440}{1500}=0.04 $$

問3

問1の電動機の1相あたりのL型等価回路をFig.1-1のように求めたい。無負荷試験と拘束試験によって以下の結果を得ている。
(無負荷試験) 定格電圧$ V_0 = 10 \sqrt{3} $ [V]を加えて無負荷試験したところ、入力電流$ I_0 = 0.5 $ [A]、入力電力$ P_0 =12 $ [W]であった。
(拘束試験) 回転子を拘束して入力電圧$ V_s = 3\sqrt{3} $ [V]、50 Hzを加えたところ、入力電流$ I_s = \sqrt{\frac{3}{2}} $ [A]、入力電力$ P_s = 9 $ [W]であった。なお、固定子1相分の巻線抵抗$ r_1 $は0.5 $  \rm{\Omega} $である。

(1)励磁回路の損失分抵抗$ g_0 $ [S]
(2)励磁リアクタンス$ b_0 $ [S]
(3)固定子から見た回転子巻線の抵抗$ r_2^{'} $ [$  \rm{\Omega} $]
(4)固定子巻線と回転子巻線の漏れリアクタンスの和$ X $ [$  \rm{\Omega} $]
を求めよ。

Fig.1-1

(1) 無負荷試験のとき、すべりが無い。したがって$ r_2^{'}\frac{1-s}{s} =\infty $となり、励磁回路のみ残る。等価回路はこんな感じ。

Fig.1-2

簡単な回路にできたので、無負荷試験の条件をそのまま解くと$ g_0 $が求まる。
$$ P_0 = V_0I_0 = g_0 {V_0}^{2} = 300g_0 = 12 $$

$$ g_0 = \frac{12}{300} = 0.04 \rm{[S]} $$

(2) (1)の結果と無負荷試験の条件より$ b_0 $が求まる。

アドミタンスを$ Y $とすると、

$$  Y = \frac{I_0}{V_0} = \frac{\sqrt{3}}{60} = \sqrt{g_0^2 + b_0^2} $$

$$ b_0^2 = \Bigl( \frac{\sqrt{3}}{60} \Bigr) ^2- {0.04}^2 = \frac{-23}{30000} $$

$$ b_0 = \sqrt{\frac{23}{30000}} \rm{[S]} $$

(3)拘束試験のとき、すべりが1となる。したがって$ r_2^{'}\frac{1-s}{s} =0 $となる。また、電流のほとんどが負荷に流れるため励磁回路は無視できる。等価回路はこんな感じ。

Fig.1-3

拘束試験の条件より簡単に$ r_2^{'} $が求まる。

$$ P_s = V_s I_s = (0.5+r_2^{'})I_s^2 = 9$$

$$ r_2^{'} = \frac{9}{I_s^2} - 0.5 = 5.5 \rm{[\Omega]} $$ 

(4) (3)の結果と拘束試験の条件より$ X $は求まる。

インピーダンスを$ Z $とすると、

$$ Z = \frac{V_s}{I_s} = 3\sqrt{2} = \sqrt{(0.5+r_2^{'})^2 +X^2} $$

$$ X^2 = (3\sqrt{2})^2 - (0.5+5.5)^2 = -18 $$

$$ X = 3\sqrt{2} \rm{[\Omega]} $$

 

問題2 電気回路、伝達関数に関する問題

問1

Fig.2-1の回路について、角周波数$ \omega $ [rad/s]の交流入力電圧$ e_{in} $ [V]から見たインピーダンス$ Z_{all} $ [$ \rm{\Omega} $]を求めよ。但し、$ R_2 $は十分大きいものとする。

Fig.2-1

$ R_2 $が十分大きい、つまり開放していると見なせる。すなわち$ i_R = 0 $となる。このときインピーダンスは、

$$ Z_{all} = R_1 + \frac{j\omega L (-j\frac{1}{\omega C})}{j\omega L - j\frac{1}{\omega C}} = R_1 + j \frac{\omega L}{1- \omega ^2 LC} \rm{[\Omega]} $$

問2

問1において、インピーダンスが最大となる角周波数を求めよ。

角周波数$ \omega $で微分して、0になる点を知ればいい。

$$ \frac{d}{d\omega} \{Z_{all}\} = j \frac{L(\omega ^2 LC -1)}{(1-\omega ^2 LC)^2} =0 $$

つまり、

$$ \omega ^2 LC -1 = 0 $$

$$ \omega = \frac{1}{\sqrt{LC}} \rm{[rad/s]} $$*1

問3

Fig.2-1の回路を入力電圧$ e_{in} $ [V]、出力電圧$ e_{out} $ [V]として、ラプラス変換を用いてブロック線図で表したところ、Fig2-2となった。Fig.2-2の(1)~(4)に入る伝達関数を示せ。

Fig.2-2

Fig.2-1の回路方程式は、

$$ e_{in} = R_1 i_1 + \frac{1}{C} \int{i_C} dt $$

である。これをラプラス変換すると、

$$ \frac{E_{in}}{s} = R_1 I_1 + \frac{1}{Cs} I_c $$

となる。

こんな感じでやっていけば、

$$ (1) \Rightarrow sR_1 $$ 

$$ (2) \Rightarrow s^2 L $$ 

$$ (3) \Rightarrow \frac{1}{C} $$ 

$$ (4) \Rightarrow sR_2 $$

となる。

問4

問3で求めたブロック線図をまとめて、入力電圧$ E_{in}(s) $から出力電圧$ E_{out}(s) $までの伝達関数を求めよ。

伝達関数は、

$$ G(s) = \frac{E_{out}(s)}{E_{in}(s)} = \frac{I_C}{sCR_1 I_1 + I_C} = \frac{sLR_{2}}{R_{1} R_{2} +s(LR_{1}+L R_{2}) +s^{2} LCR_{1}R_{2}} $$

となる。*2

問5

Fig.2-1の回路に、入力電圧$ e_{in} = 10 $ [V]の直流電圧を加えたときの出力電圧$ e_{out} $ [V]の過渡応答式を求めよ。但し、キャパシタ$ C $の初期電荷およびインダクタ$ L $の初期電流を0とし、$ R_1 =5 \rm{[\Omega]} $、$ R_2 =1 \rm{[\Omega]} $、$ C =0.2 \rm{[F]} $、$ L =1 \rm{[H]} $とする。
回路定数を問4で求めた伝達関数に適用すると、
$$ G(s) = \frac{s}{s^2 +6s +5 } $$
となる。この伝達関数の分母を因数分解すると、
$$ s^2 + 6s + 5 = (s+1 )  (s+5  ) $$
となる。
この伝達関数を逆ラプラス変換すると、
$$ \mathcal{L}^{-1}[G(s)] = g(t) = \frac{1}{4} \Bigl\{ 5e^{-5t} - e^{-t} \Bigr \} $$
となる。
つまり過渡応答式は、
$$ e_{out}(t) = 10g(t) = \frac{5}{2}\Bigl\{ 5e^{-5t} - e^{-t} \Bigr \} $$
となる。
 

問題3 電磁誘導に関する問題

磁場に垂直な面内で円板導体が回転しているため、円板導体中には起電力が生じる。まず、円板導体内の直線OC上でOから距離$ r $の位置にある微小な長さ$ dr $の半径要素に注目する。円板導体が回転する角速度が$ \omega $であるため、半径要素$ dr $が運動する速さは、$ v =(1) $である。これより、半径要素$ dr $の部分で発生する起電力の大きさは、$ de = (2) $となる。したがって、円板導体内の直線OCの部分において発生する起電力の大きさは、$ e = (3) $となる。円板導体中に起電力が発生することにより、抵抗$ R $には電流$ I $がFig.3-1中の$ (4) $に流れる。点Oと点Cにおける接触抵抗や円板導体における抵抗を無視できるとすると、定常状態においては、$ I = (5) $である。ここで求めた電流$ I $は円板導体内の直線OC間にも流れるので、回転する円板導体には力が働く。半径要素$ dr $の部分に働く力の大きさは、$ dF = (6) $となり、$ dF $の回転中心軸まわりのトルクの大きさは、$ dT = (7) $となる。したがって、円板導体全体に対して働く回転中心軸まわりのトルクの大きさは、$ T = (8) $となる。このトルク$ T $は、円板導体の回転を$ (9) $さえる方向に働く。
(1)~(9)に入る数式、語句を埋めよ。

Fig.3-1

円運動するときの半径$ r $と角速度の関係より、

$$ (1) \Rightarrow v= \omega r $$ 

となる。

電荷量を$ q $とするとLorentz力は、$ \boldsymbol{F}=q(\boldsymbol{v} \times \boldsymbol{B}) $であるから、

$ \boldsymbol{E} =\boldsymbol{v} \times \boldsymbol{B} $となる。*3

この電場の大きさから起電力を求めると、

$$ de = | \boldsymbol{E} | dr = vBdr $$

となる。つまり、

$$ (2) \Rightarrow de= \omega r \mu_{0} H dr $$ 

である。

(2)を原点Oから半径$ a $まで積分すると、

$$ \int_{0}^{a} {de} = e = \frac{\mu_0 H \omega a^2}{2} $$

となる。つまり、

$$ (3) \Rightarrow e= \frac{\mu_0 H \omega a^2}{2} $$ 

である。

ここで起電力の向きについて考えよう。Neumann-Lenzの電磁誘導則よりうず電流を妨げる向きに起電力は生じる。この円板導体には磁場によって反時計回りにうず電流が生じるが、その逆向きに誘導電流が生じることになる。つまり起電力は起電力は点Oから点Cの向きに生じる。したがって電流はBの向きである。

$$ (4) \Rightarrow \text{Bの向き} $$ 

Ohmの法則より電流$ I $は、

$$ I = \frac{e}{R} = \frac{\mu_0 H \omega a^2}{2R} $$

となる。つまり、

$$ (5) \Rightarrow I = \frac{\mu_0 H \omega a^2}{2R} $$ 

である。

半径要素$ dr $中の電流が受ける力は、$ F = IBl $より、

$$ dF = IBdr = \frac{\omega (\mu_0 H  a)^2}{2R} dr $$

となる。つまり、

$$ (6) \Rightarrow dF = \frac{\omega (\mu_0 H  a)^2}{2R} dr $$

である。

この回転中心軸回りの力のモーメントは、$ d\boldsymbol{T} = \boldsymbol{r}\times d\boldsymbol{F}  $だから、

$$ dT = r dF = \frac{r \omega (\mu_0 H  a)^2}{2R} dr $$

となる。つまり、

$$ (7) \Rightarrow dT = \frac{r \omega (\mu_0 H  a)^2}{2R} dr $$

である。

この微小半径に加わる力のモーメントを原点Oから半径$ a $まで積分すると、

$$ \int_{0}^{a} {dT} = T = \frac{\omega (\mu_0 H )^2 a^4}{4R} $$

となる。つまり、

$$ (8) \Rightarrow T = \frac{\omega (\mu_0 H )^2 a^4}{4R} $$

である。

なおこの力のモーメントは回転方向とは逆向きに働くので、回転を減速させる方向といえる。

$$ (9) \Rightarrow \text{減速} $$ 

*1:共振周波数じゃん!!

*2:ブロック線図をうまくまとめるか、関係式を根気よく解く。私は代数的に解くほうが好き。

*3:こういのを誘導電場という