Pika’sはきだめ

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Jensenの不等式など

花粉が猛威を振るう時期になった。私は外出をほとんどしていないので、今のところ被害を最小限に抑えることができている(外出したらやばいかもしれない)。

さて数学の話題について書こうと思う。友人から送られてきた数学の問題で少々興味深いものがあったので、少しだけ書いてみようかなといった次第である。

Jensenの不等式

確率統計で使ったりするんだとか。東工大の2次試験でもたまに出るらしい。凸関数の不等式なんだとか。

Jensenの不等式

関数$ f(x) $が凸関数であるとき、任意の$ n $個の実数$ x_1, ......,x_n $と

$\alpha _i \geq 0 , $ $ \sum\limits  _{i=1} ^n \alpha _i =1 $を満たす任意の$ \alpha _1, ......,\alpha _n $に対して、

$ \sum \limits _{i=1} ^n  {\alpha _i f(x_i)} \geq  f( \sum \limits _{i=1} ^n  {\alpha _i x_i}) $ が成立する。

このJensenの不等式に関する問題を解いていく。

凸関数の性質(1)

実数値関数$ f(x) $は任意の実数$ x $に対して2階導関数$ \frac{d^2 f(x)}{dx^2} $が存在し、$ \frac{d^2 f(x)}{dx^2} \geq 0 $となる。
$ x_1 < y < x_2 $を満たす$ x_1 $、$ x_2 $、$ y $に対して、$ \frac{f(x_2)-f(y)}{x_2 - y} \geq \frac{f(y)-f(x_1)}{y - x_1} $
が成立することを示せ。
これはJensenの不等式を使わない*1。凸関数の定義そのものである。
$ \frac{d^2 f(x)}{dx^2} \geq 0$であるから下に凸だとただちにわかる。また$ \frac{f(x_2)-f(y)}{x_2 - y} \geq \frac{f(y)-f(x_1)}{y - x_1} $の形が平均値の定理だな~とわかる。このことからLagrangeの平均値の定理を用いて示す。
 
$ x_1 <\alpha < y < \beta < x_2 $となる$ \alpha $、$ \beta $を考える。Lagrangeの平均値の定理より、
$$ \frac{f(y)-f(x_1)}{y - x_1} = \frac{df(x)}{dx}|_{x= \alpha} $$ $$ \frac{f(x_2)-f(y)}{x_2 - y} = \frac{df(x)}{dx}|_{x= \beta} $$
が成立する。
また$ \alpha < y < \beta $の区間においても
$$ \frac{f(\beta)-f(\alpha)}{\beta - \alpha} = \frac{df(x)}{dx}|_{x=y} $$
となる。
ところで$ g(x)=\frac{df(x)}{dx} $とすると
$$ \frac{dg(x)}{dx}= \frac{d^2 f(x)}{dx^2}$$
と書ける。
条件$ \frac{d^2 f(x)}{dx^2} \geq 0$より$ \frac{dg(x)}{dx} \geq 0 $となる。つまり$ g(x) $が単調増加する。
 
ここで$ g(\alpha) =  \frac{df(x)}{dx}|_{x= \alpha}$、$ g(\beta)= \frac{df(x)}{dx}|_{x= \beta} $とすると、
$$ \frac{g(\beta)-g(\alpha)}{\beta - \alpha} = \frac{dg(x)}{dx}|_{x=y} \geq 0 $$
と書ける。この不等式を変形すると
$$ g(\beta)  \geq g(\alpha) $$
$$ \frac{df(x)}{dx}|_{x= \beta}  \geq \frac{df(x)}{dx}|_{x= \alpha} $$
$$ \frac{f(x_2)-f(y)}{x_2 - y}  \geq \frac{f(y)-f(x_1)}{y - x_1} $$
となる。以上より$ \frac{f(x_2)-f(y)}{x_2 - y} \geq \frac{f(y)-f(x_1)}{y - x_1} $の不等式が成立することを示せた。

凸関数の性質(2)

実数値関数$ f(x) $は任意の実数$ x $に対して2階導関数$ \frac{d^2 f(x)}{dx^2} $が存在し、$ \frac{d^2 f(x)}{dx^2} \geq 0 $となる。
任意の実数$ x_1 $、$ x_2 $と$ 0\leq \alpha \leq 1 $を満たす任意の$ \alpha $に対して、$ \alpha f(x_1) + (1-\alpha)f(x_2) \geq f(\alpha x_1 + (1-\alpha)x_2 )$  が成立することを示せ。
これは凸関数の性質(1)と同様の方法で解くことが可能。
 
$ x_1 < x_2 $とすると$ x_1 < \alpha x_1 + (1-\alpha)x_2 < x_2 $となる。
これに平均値の定理を適用し、凸関数の性質(1)の時と同様に不等式を立てればよい。
今、$ \alpha x_1 + (1-\alpha)x_2 = A $とすると、
$$ \frac{f(x_2)-f(A)}{x_2 - A} \geq \frac{f(A)-f(x_1)}{A - x_1} $$
となる。*2
この不等式を変形すると、
$$ (A - x_1)\Bigl(f(x_2)-f(A)\Bigr) \geq (x_2 - A)\Bigl(f(A) - f(x_1)\Bigr) $$
$$ (A - x_1)f(x_2) + (x_2 - A)f(x_1) \geq  (x_2 - x_1)f(A) $$
$$ \frac{A - x_1}{x_2 - x_1} f(x_2) + \frac{x_2 - A}{x_2 - x_1} f(x_1) \geq f(A) $$
となる。
$ f(x_2) $の係数は、
$$ \frac{A - x_1}{x_2 -x_1} = \frac{(\alpha -1)x_1 + (1- \alpha)x_2}{x_2 - x_1}=1-\alpha $$
となる。
$ f(x_1) $の係数は、
$$ \frac{x_2 - A}{x_2 -x_1} = \frac{x_2 - \alpha x_1 -(1- \alpha )x_2}{x_2 - x_1}=\alpha $$
となる。
以上より$ \alpha f(x_1) + (1-\alpha)f(x_2) \geq f(\alpha x_1 + (1-\alpha)x_2 )$   が成立する。

凸関数の性質(3)

凸関数の性質(1) (2)を満たす関数$ f(x) $は任意の$ n $個の実数$ x_1, ......,x_n $と$\alpha _i \geq 0 , $ $ \sum\limits  _{i=1} ^n \alpha _i =1 $を満たす任意の$ \alpha _1, ......,\alpha _n $に対して、$ \sum \limits _{i=1} ^n  {\alpha _i f(x_i)} \geq  f( \sum \limits _{i=1} ^n  {\alpha _i x_i}) $ が成立することを示せ。
Jensenの不等式を証明する問題だ。数学的帰納法により示すことにする。
 
凸関数の性質(1)(2)が成立すると仮定すると、$ n=2 $のとき
$$ \alpha_1 f(x_1)+\alpha_2 f(x_2) \geq f(\alpha _1 x_1 + \alpha _2 x_2) $$
が成立する。
そこで$ n \geq 3 $とし、$ n-1 $のとき凸関数の性質(1)(2)が成立すると仮定する。
今、$ \lambda = 1 - \alpha _n$、$ \gamma = \sum\limits  _{i=1} ^{n-1} \frac{\alpha _i x_i}{\lambda} $  となる$ \lambda $と$ \gamma $を考える。
もちろん$ \alpha_n + \lambda =1 $、$ \lambda > 0 $、$ \alpha_n > 0 $  であるから、
凸関数の性質(1)(2)の仮定より
\begin{align} f(\sum \limits _{i=1} ^n  {\alpha _i x_i})& =f(\lambda \sum \limits _{i=1} ^{n-1}\frac{\alpha _i x_i}{\lambda}+ \alpha_n x_n) \\\ & =f(\lambda \gamma + \alpha_n x_n) \\\ & \leq \lambda f(\gamma) +\alpha_n f(x_n) \end{align}
が成立する。
ここで$ \lambda_i = \frac{\alpha_i}{\lambda} $とすると、$ \gamma = \sum \limits _{i=1} ^{n-1} \lambda_i x_i $ 、$ \sum \limits _{i=1} ^{n-1} \lambda_i =1 $ 、$ \lambda > 0 $ である。
帰納法の仮定より
\begin{align} f(\gamma) = f( \sum \limits _{i=1} ^{n-1} \lambda_i x_i ) & \leq \sum \limits _{i=1} ^{n-1} \lambda_i f(x_i) \\\ & = \frac{1}{\lambda}\sum \limits _{i=1} ^{n-1} \alpha_i f(x_i) \end{align}
となる。
したがって
\begin{align} f(\sum \limits _{i=1} ^{n} \alpha_i x_i) & \leq \sum \limits _{i=1} ^{n-1} \alpha_i f(x_i) + \alpha_n f(x_n) \\\  & = \sum \limits _{i=1} ^{n} \alpha_i f(x_i) \end{align}
となり$ n $の時も成立することがわかった。以上より任意の自然数$ n $においてJensenの不等式が成立する。

*1:Jensenの不等式に関する問題を解くって書いたのに使わない問題でした

*2:この式は凸関数の性質(1)と同様の計算をして導くことができる。そのため計算は省略している。気になる人はやってみてください。

寺巡りのすゝめ

この記事は、 Advent Calendar 2021の9日目の記事です。

 

 

はじめに

皆さん初めまして。ぴかです。

この度Advent Calendarの9日目の記事を書きました。

ひとまず私の自己紹介を軽くします。電気工学科で4年間ひっそりと過ごしている者です。趣味は読書、ギター、飯を食うこと、寝ることなどです(こいつ三大欲求の2つ趣味やん)。最近は、serial experiments lain*1を見たり見なかったりしています。

最近一段と寒くなりましたね。今回は私が今年の冬をどう過ごそうとしているか、これについてお話します。

なんで?

 

越冬

 好きな季節は何かと問われたら冬だと答えます。春、夏、秋と答える人はみな嘘をついているはずです*2。春は花粉(花粉症はしんどい)に悩まされるし、夏は暑い(年々暑くなってる気がする)。秋は寒暖差で体調を崩しやすい。つまるところ冬が良いわけであります。冬は草木が枯れてしまって、なんだかやられちまっている色をしています。私はそういうところも含めて冬が好きです。

 さて今年の冬は昨年より寒いとのことです。ラニーニャ現象*3のたまものだとか。花や草木、そのへんの虫、そこらの動物など生きとし生けるものにとって越冬できるかどうかは冬の寒さにかかっています。もちろん我々人間も冬の寒さには堪えるものがあり、寒すぎてサムゲタンになるような事態は避けなければなりません。まぁ人間には暖房器具とかいう文明の利器があるので乗り越えられるわけですが。

 そんな冬をどう過ごしてやるか考えていきます。どうせなら"文化"にまみれて過ごしたいな~とかね。

 

文化的生活

 師走の名が示す通り12月は忙しい時期であることは常識であります。我々がそんな12月を乗り切ることができるのはどうしてなのか?

 あったかい鍋?クリスマス?大晦日の特番?年越しそば?社会人ならボーナスとか?

これらは冬や12月の風物詩です。風物詩とは結局のところ季節を特徴づけた文化です。我々はこういった形でも文化にまみれているわけですね。

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Fig.1 文化かるちゃー

さて、私は今年の冬は「楽しい文化にまみれたいな~」と思っています。

例えば、読書、アニメ、ゲーム、クリスマスに涼宮ハルヒの消失を見ながら鍋を食う、1月からやる進撃の巨人final seasonの続きを楽しみに待つ、数学ガールを読んでガロア理論の理解を深める、百人一首をいっぱい覚えてお正月に無双する、AliExpressで中国のなんかよくわからない民族楽器を買って遊ぶ......

こんなことしたいですね。

ちなみに私がAliExpressで買ったのは月琴という丸い楽器です。↓こんなの

museum.min-on.or.jp

こういう文化的生活*4は考えているだけで楽しいです。実際やってみても楽しいんだけど。

 

現実

 冬にしたいことをつらつらと並べましたが、そんなことしてる余裕なさそうやなという現実があります。私は進学したいなと考えています。お勉強しないとですね。

「AliExpressで買った楽器を演奏するよりもやるべきことがあるのでは?」

と神からのお告げがきたようなきてないような。たのしいことたくさんしたいな~。

煩悩まみれになった私はどうすればいいのでしょうか???

 

寺へ行け

 煩悩*5とはデジタル大辞泉によると、

身心を悩まし苦しめ、煩わせ、けがす精神作用。

とのことです。

私の欲求・願望はまさしく煩悩であります。

さて、煩悩を断ち切るというか、打ち勝つにはやはりお寺*6でしょう。

幸い奈良にはお寺がたくさんあります。近所のお寺、大きいお寺(東大寺とか興福寺とか)、どっか出かけた先でたまたま見つけたお寺とか...

そういうところへ訪れると煩悩を断ち切れるかなと思います。

観光以外の目的でお寺へ行くとより楽しめます。煩悩を断ち切る、仏像が好きなので見に行く、西国三十三所めぐり、お遍路さんとか。

阿修羅像が好きなのでフィギュア飾ってましたが夜中に見ると怖いです。阿修羅像を見るのは国宝館だけでいいですね。

皆さんも煩悩が沸いてきたらお寺へ行ってみてはどうでしょうか。

どうでもいいですが興福寺の南円堂、めちゃかっこいいです。

 

さいごに

 「冬の過ごし方」から「お寺巡り」へと遷移しました。お寺に限った話ではなくどこかへ行くのはいいことなのかもしれませんね。

 クリスマスにハルヒの消失を見るぐらいは神様も赦してくれるでしょう。たぶん神も見たいだろうし。

 他の人の記事は↓からご覧ください。めちゃおもしろいです。

adventar.org

ここまでお読みいただきありがとうございました。

私のことは全部忘れてください。さようなら。

*1:おもろいのでみんな見てね

*2:たぶん

*3:私はラニーニャがなんなのかよく知らない

*4:そういえば小林私さんが去年「文化的越冬の支度」というライブしてたことを思い出した

*5:煩悩ってなんで108なんだろ

*6:お寺以外思いつかなかった

クリスマス

12/25はクリスマス

小さい頃は1年の中で1番楽しみにしていた。いつごろからだろうか。サンタとかいう赤服のおじさんの存在を不思議に思ったのは。そんなこと考えてたらしまいに来なくなったのだ。世の中は理不尽というがこれほど理不尽だとは思わなかった。

妹にはサンタが来ているのになぜ俺には来ない。そうか、俺はサンタというおじさんを聖人と勘違いしていたのか。確かにそうだ。俺みたいな人生お先真っ暗にはどうりで来ないはずだ。






クリスマスなんかくそくらえだ。

とはいうもの今年もチキンを食べている。