Pika’sはきだめ

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春先は変人たちが踊りだす

最近暖かくなってきたなと感じます。気づけば3月中旬です、そりゃ暖かいわけだ。私の花粉症の症状も顕著に出てきてます。花粉やめてくれ~

ところで、春先は変質者だったり物騒な事件が多いような気がします。気体分子の運動エネルギーは絶対温度$ T $に比例しますよね。↓この式です。*1

$$ \frac{1}{2} m\overline {v^2} = \frac{3}{2} k T $$

冬から春に遷移していく中で気温差を感じます。冬場は寒くてあんまり元気がない人も春になると活発になるわけですね。そういうわけでこの春先は変質者とかが多いのかなと思いました。本州の人よりも高知の人とか九州、沖縄の人達ってなんか活発的だし変な人多いような気がします。これも向こうが暖かいからなんですかね。

 

今日はLondon方程式について取り上げてみようかなと思います。

London方程式

イギリスの首都の方程式ではありません。London兄弟が導いた方程式です。(イギリス出身じゃなくてドイツ出身ぽい)

これは超伝導体の性質であるMeisnner効果の現象論的方程式です。Meisnner効果ってのはアレです。超伝導体に外部磁場を加えたとき、超伝導体の表面に外部磁場を打ち消しあうような反磁性電流ってのが流れて、超伝導体内部には外部磁場が侵入しないってやつです。

超伝導体は電気抵抗が0 ΩになるのでOhmの法則が使えなくなります。そこでLondon兄弟は超伝導体の電流を電場由来ではなく磁場由来として考えました。へ~。*2

London方程式

真空透磁率を$ \mu_{0} $、外部磁場を$ \boldsymbol{B} $、超伝導体への磁場侵入長を$ \lambda $とすると電流密度$ \boldsymbol{j} $は、

$$ \nabla \times \boldsymbol{j} = - \frac{1}{\mu_{0} \lambda ^2} \boldsymbol{B} $$

という関係式で表される。

このLondon方程式を使った問題を見ていきます。

問題*3

超伝導体ではOhmの法則が成立せず、London方程式が成立すると考える。このとき$  xy $面を表面として$ z \geq 0 $の領域に配置された一様な超伝導体内部の$ \boldsymbol{B} $について、磁場$ \boldsymbol{B}(z) $の分布を求めよ。但しここで$ \boldsymbol{B}(z=0) = \boldsymbol{B}_0 $とし、また変位電流$ \boldsymbol{j}_d $は無視でき、超伝導体内の透磁率は$ \mu_0 $とする。

解法としてまず思いつくのがLondon方程式とAmpere - Maxwellの式を用いて磁場$ \boldsymbol{B} $に関する式をたてることです。

また変位電流(厳密に言うと変位電流密度)$ \boldsymbol{j}_d $を無視できるので、ここではAmpereの式だけで十分です。

Ampereの式は、

$$ \mathrm{rot} \frac{\boldsymbol{B}}{\mu_0} = \boldsymbol{j} $$

です。

両辺に$ \mu_0 $をかけた後、回転$ \mathrm{rot} $を取ると、

$$ \mathrm{rot\ rot} \boldsymbol{B} = \mu_0 \ \mathrm{rot} \boldsymbol{j} $$

となります。

ところでベクトル三重積的な性質により、

$$  \mathrm{rot\ rot} \boldsymbol{B} = - \nabla ^2 \boldsymbol{B} + \mathrm{grad} \ \mathrm{div} \boldsymbol{B} = -\nabla ^2 \boldsymbol{B} $$

となります。

つまりAmpereの式は

$$ \nabla ^2 \boldsymbol{B} = - \mu_0 \ \mathrm{rot} \boldsymbol{j} $$

となります。こういう楕円型の2階偏微分方程式をPoisson方程式といいます。電磁気やってるとスカラーポテンシャルやベクトルポテンシャルのPoisson方程式をよく見かけます。というかこれもベクトルポテンシャルのPoisson方程式と同じです。

この磁場のPoisson方程式の右辺にLondon方程式を代入すると、

$$ \nabla ^2 \boldsymbol{B} = \frac{1}{\lambda ^2} \boldsymbol{B} $$

という磁場$ \boldsymbol{B} $だけの微分方程式ができました。次はこれを解いていきます。

問題の条件より変数$ z $に関する$ \boldsymbol{B}(z) $を考えていきます。つまり1変数の微分方程式に置き換えられるってわけですね。

簡単化した微分方程式は、

$$ \Bigl (\frac{d^2}{dz^2} - \frac{1}{\lambda^2} \Bigr) \boldsymbol{B}(z) =0 $$

となります。

今、この微分方程式のAnsatzを

$$ \boldsymbol{B}(z) = e^{\gamma z} $$

と置くことにします。

これを微分方程式に適用すると、

$$ \gamma^2 - \frac{1}{\lambda^2}=0 $$

という特性方程式が得られます。

これより適当に置いた指数の定数$ \gamma $は、

$$ \gamma = \pm \frac{1}{\lambda} $$

となります。さてこの$ \gamma $はプラスなのかマイナスなのか。

微分方程式の解が$ z \rightarrow \infty $としたとき発散しなければMeisnner効果を満たす(磁場が超伝導体中でちっこくなってほしい)ので、調べていきます。

$ \gamma = +\frac{1}{\lambda} $だと

$$ \lim_{z \to \infty } \boldsymbol{B}(z) = \lim_{z \to \infty } \exp \Bigl( {\frac{z}{\lambda}}\Bigr) = \infty $$

と明らかに発散します。つまり$ \gamma = - \frac{1}{\lambda} $が特性方程式の解になります。 

また条件より$ \boldsymbol{B}(z=0) = \boldsymbol{B}_0 $だから結局のところ求める解は、

$$ \boldsymbol{B}(z) = \boldsymbol{B}_0 \exp \Bigl( {-\frac{z}{\lambda}}\Bigr) $$

となります。これが超伝導体内部の磁場の分布です。

 

 

*1:厳密にいうと気体分子の平均運動エネルギー

*2:このLondon方程式が成立するのは厳密に言うと電気抵抗が完全に0の超伝導体内部だけだそうです。

*3:早〇田先進理工の院試